<Q&Aシリーズ>婦人科形成(小陰唇縮小、クリトリス包茎手術)

いただいた質問に回答していくシリーズ

今回は、「婦人科形成(小陰唇縮小、副皮切除、クリトリス包茎手術)」について。

1万人以上の小陰唇を診察し、1000人以上の小陰唇手術をした産婦人科専門医が放つ、珠玉の内容。

 

Q、婦人科形成術後経過について。

小陰唇縮小、副皮除去をして2ヶ月が経ちました。
術後、ジンジン脈打つような痛みが1週間続きました。お手洗いは血がポタポタ垂れる時と垂れない時がありました。

今の一番の心配は腫れ痛みが治らないことで、トイレで優しくポンポンと拭いても痛いです。
右の小陰唇の中に丸いシコリがあります。こちらはいずれ無くなるのでしょうか。

ゲンタシン軟膏等塗った方がいいでしょうか。

 

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さて、では今回は婦人科形成について解説していきます。

 

婦人科形成(小陰唇縮小、クリトリス包茎手術)とは

小陰唇とは、尿道口と膣口の外側に位置するひだのことです。

大きさや形、色は人によって様々です。生まれつきほとんどない人もいますが、無くて困っている人はいないので、機能はほとんど無いと考えられます。

日常生活への支障で相談されることが多いです。

クリトリス包茎は、包皮によってクリトリスが全てもしくは、ほとんど包まれた状態です。女性の何割が包茎かどうかの統計は見当たりませんが、男性の包茎率が7割程度とされていることと、自分が婦人科診察をしてきた経験からも、7割程度と思われます。

話は変わりますが、人は生まれるとき最初は、男女とも女性の形をしています。男性は男性ホルモン作用することで、女性のクリトリスにあたる部分が大きく発達してペニスになります。へぇ~。

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小陰唇縮小について

対象となる方

の悩みは、前から見たときにはみ出している、左右差がある、黒ずみが気になるなどです。

日常生活への支障に関しては、下着に擦れて痛い、座ったときに邪魔になる、自転車に乗るときに違和感がある、汚れがたまりやすい、臭いが気になるなどです。

小陰唇の前方にもう1枚ヒダがあることがあり、これが副皮です。副皮が大きいときには、小陰唇のみの縮小では前方に大きなヒダが残って不自然なため、副皮を合わせて切除することをおすすめします。

手術方法

手術室で行います。

最初に切除範囲をペンでデザインします。小陰唇に役割(機能)はほとんど無いため、どれだけ切除するかは希望次第です。

次に局所麻酔を行います。局所麻酔が少しチクッとしますが、麻酔後は痛みはありません。

デザイン通りに小陰唇を切除したら縫合して終了します。

私の場合には、溶ける糸で皮膚の内側を縫って、表面を皮膚用のボンドで保護して終了します。抜糸はありません。

手術時間は15~30分程度です。

術後経過

痛みは1週間ほどで落ち着く場合が多いです。痛みのある間は鎮痛薬を飲んでいれば日常生活には支障はありません。

腫れは1週間でほぼ落ち着きますが、切開系の施術では形が完成するのは3か月かかります。

出血はナプキンに付着する程度です。

入浴は、表面をボンドで保護する方法では、直後から可能です。

性交渉や激しい運動は1か月後からです。

 

クリトリス包茎手術

対象となる方

クリトリスが隠れているのが嫌、包皮内に汚れがたまる、臭いが気になる方

手術方法

小陰唇縮小と同様に、デザインを描いた後、局所麻酔をして、余分な包皮を切除します。

溶ける糸で縫合し、皮膚用のボンドで表面を保護して終了です。

手術時間は10分程度です。

 

質問への回答

Q、婦人科形成の術後経過について。

術後、お手洗いの時に血がポタポタと垂れるときがあったとのことで、通常の経過よりも出血が多かったようです。

出血が多いと皮膚の内側で血の塊(血腫)ができることがあります。血腫は、できるときに痛みを伴う事が多く、表面から固くしこりのように触れます。

大きさにもよりますが、血腫がなくなるまでは、数か月~半年かかることが多いです。

皮膚表面がただれていたり、傷があるわけではないと思うので、ゲンタシン軟膏は塗らなくて良いです。