シミ治療 ちょっと待って、その治療方法あってる? ①炎症後色素沈着

先日、他院でシミのピコレーザー治療をした後に、シミの数が増えて、シミの濃さも濃くなったと、とても悩まれて相談に来られた方がいました。

なぜ、シミ取りレーザーをしたのに、シミが増えて濃くなってしまったんでしょうか。

 

そもそも、シミの種類は何種類あるかご存知でしょうか。

美容関係の医師でも、ぱっと聞かれて答えられる人の方が多いのではないでしょうか。

一般の方なら、なおさらだと思います。

今回から、シミ治療についてみていきたいと思います。

 

 

 

シミの種類

シミには大きく分けて5種類あります。

1.後天性真皮メラノサイトーシス(ADM:acquired dermal melanocytosis)

2.脂漏性角化症(SK:seborrheic keratosis)

3.そばかす(雀卵斑)

4.肝斑

5.炎症後色素沈着(PIH:post-inflamatory hyperpigmentation)

それぞれに、治療方法が異なります。

今回は、炎症後色素沈着(PIH)についてみていきます。

 

炎症後色素沈着(PIH)とは

外傷、熱傷などの皮膚の損傷が治癒した後には、皮膚の色素沈着をきたすことが多いです。

シミ取りレーザーも一時的に皮膚の損傷が生じるため、1/3~半分程度の方に炎症後色素沈着とされています。

事前にしっかりと説明を受けていないと、せっかくシミ取りをしたつもりが、シミがこくなってびっくりすることになります。

 

炎症後色素沈着の自然経過と治療法

炎症後色素沈着は、原則何も治療を行わなくても自然治癒します。その期間は、顔で半年、体幹・上肢で1~2年、下肢で3~4年とされています。

治療方法には定まったものはありません。

しかし、皮膚損傷後の一時的な体の反応で色素沈着が生じていて、ほぼ確実に治る状態であるから、そっとしておき待つのが一番良いとされています。

一部のクリニックでは、更にレーザー照射をしたり、フラッシュライトをあてたり、トレチノインやピーリングを行うところもありますが、そのような治療はふたたび皮膚を損傷することになり、更なる色素沈着をきたすリスクが多いです。

 

実際の症例写真

実際に何も治療しないで経過観察した症例の写真をお示しします。

他院でQスイッチアレキサンドライトレーザーを受けた1か月後に、シミが濃くなって相談された方です。

 

自然に経過をみることにして、2か月半でかなりうすくなりました。

 

6か月後、シミは分からなくなりました。

 

最後に

自然経過の他に、皮膚を損傷しない治療法として、トラネキサム酸内服や日焼け防止があります。

炎症後色素沈着では、焦って皮膚を損傷する治療を受けることをせず、じっと待つことが大切です。