<Q&Aシリーズ>全切開平行二重から末広二重への修正

いただいた質問に回答していくシリーズ

今回は、「二重修正」について。

 

Q、全切開平行二重から末広二重への修正

全切開の平行二重から末広二重への修正を希望しています。
今平行二重と言っても、蒙古襞があるのでそのひだの上から被さるようにラインがあります。
二重のラインを目頭へくっつけてmix型にして、かつ目頭切開で蒙古襞を取り除きたいです。
全切開の修正はいつごろ行くべきですか?早い方がいいのでしょうか?

 

 

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さて、では今回は全切開二重術について解説していきます。

 

全切開二重術(全切開法重瞼術)とは

全切開二重術(全切開法重瞼術・ぜんせっかいほうじゅうけんじゅつ)とは、二重にしたいラインで皮膚を切開して、表面の皮膚・皮下組織を深い層にある瞼板前組織縫合する方法です。

二重術には大きく分けて埋没法切開法とがあります。

次から、切開法のメリット・デメリット、切開法が適している場合に関して解説していきます。

 

全切開二重術のメリット・デメリット

メリット

二重の取れにくさ

切開法を希望される理由で最も多いのが、二重の取れにくさです。埋没法と違って、皮膚・皮下組織を深い層にある組織と直接結びつけるため、取れにくい傾向にあります。

直後の強度もありますが、皮膚と深い層の組織とが直接くっつく(癒着する)と、時間が経っても外れにくくなります。

加齢に伴って弛(たる)んだ皮膚を切除できる

加齢に伴って皮膚は弛んでしまいます。

弛みが強くなると、皮膚がまつ毛の上に乗っかってしまって、見た目が悪くなります。さらに弛みが強くなると黒目にかかって視野が悪くなったりします。

切開法では弛んだ皮膚を取り除くことができるます。

眼瞼下垂の手術ができる

切開法では、途中まで眼瞼下垂の手術と同じ手術内容を行います。したがって、切開法のついでに眼瞼下垂の手術を行うこともあります。

逆に、眼瞼下垂手術をする際に、皮膚と深い層の組織を結んで手術を終えれば、二重術も同時に行うことができます。

 

デメリット

ダウンタイムが長くなる

切開法は埋没法に比べると、皮下出血や腫れが強くなります。そのため、ダウンタイムは、埋没法1か月に比べて、切開法では6か月ほどかかります。

二重幅の変更が困難である

切開法で皮膚と深い層の組織とが癒着した後では、癒着を解除しなければ幅の変更が難しいことがあります。この癒着の解除難しい場合があるのと、切開した傷跡が残ってしまうことから、幅の変更が困難です。

 

質問への回答

Q、全切開平行二重から末広二重への修正

今回の症例では、蒙古襞の上に被さる感じで平行ラインを作ったとのことですので、術前は平行二重ではなかったと思われます。

切開法のラインが解除できれば末広二重に修正することは可能です。切開法のライン解除は癒着が強くなる前の方がやりやすいので、早めの受診が望ましいです。

ただし、術直後では腫れが強いことが予想され、修正する二重のシュミレーションが難しい場合があります。その場合には、切開法のライン解除を行って、腫れが引いてからmix型の二重形成をするという、2段階の手術が必要になる可能性があります。

二重の修正に関して、埋没でするか、再切開するかは診察次第です。