読書 「他者と働く-「わかりあえさ」から始める組織論 宇田川元一」

組織のトップになって、各部署との連携に課題がある時期に読んだ。
本書を読み、自分の思い通りに各部署が動かない理由を理解することができた。そして、連携を進めるための考え方を学ぶことができた。

 

 

本書はタイトルが組織論をなっているが、個人間での理解やコミュニケーションにも役立つ内容となっている。

本書の内容は、相手との対話を通して、お互いの理解を進める方法とその具体例の解説である。
対話とは、自分と相手との間の溝を認識し「溝に橋を架けて」「新しい関係を築くこと」とされている。

対話の4つのプロセスを以下に示す。
1.準備「溝に気付く」
相手と自分のナラティヴに溝(適応課題)があることに気付く
2.観察「溝の向こうを眺める」
相手の言動や状況を見聞きし、溝の位置や相手のナラティヴを探る
3.解釈「溝の渡り橋を設計する」
溝を飛び越えて、橋が架けられそうな場所や架け方を探る
4.介入「溝に橋を架ける」
実際に行動することで、橋(新しい関係性)を築く

解釈に関しては大きく3つの流れがある。
1.観察で分かったことを眺めて、そこから相手のナラティヴを自分なりに構成してみる。
2.相手のナラティヴの中に立って自分を眺めると、どう見えるかを知る。
3.ナラティヴの溝に架橋できるポイントを、協力者などのリソースを交えて考える。

解釈のプロセスは、信頼のおける人と一緒にやると良い。最低限、書き出すなどして客観的に眺められるようにする。
対話のなかで、自分のナラティヴの偏りを自覚することを忘れてはいけない。

他者の理解を得にくい場合は、相手のナラティヴを探り橋を架けることが重要な手段となることを理解した。
「理解してから、理解される」という言葉があるが、これを行うための具体的な方法をしることができた。