腰痛の常識・非常識
あなたがしている腰痛対策は間違っていないだろうか。
「女性の健康 包括的支援のための診療ガイドブック」に沿って
今の腰痛対策方法をまとめようと思う。
Q1.腰痛の原因は画像検査でわかるか。
A1.単純X線やMRIなど、病院で一般的に行われる画像検査での異常所見が、腰痛の原因である場合はそれほど多くない。
「腰痛の経験がない人でも、60代までの約6割、60代以上の9割以上では、MRIで何らかの椎間板の異常所見がある。」
「腰痛がない健康な人の4人に3人は画像(MRI)上の椎間板ヘルニアを持っている。」との報告がある。
Q2.腰痛がある時は、安静にしたほうが良いのでしょうか?
A2.腰痛に対して、安静は推奨されていない。
Q3.腰痛と肥満とは関係があるか。
A3.関係があるとする研究結果と、関係ないとする研究結果の両方がある。
Q4.腰痛にコルセットが効果があるか。
A4.コルセットが有益とする科学的根拠はいまだ示されていない。
逆に4週間続けてコルセットをしていると、大事な筋肉が萎縮する。
Q5.腰痛の時は、温める、冷やすのいずれが良いか?
A5.急性の腰痛において冷やすと良いというエビデンスはない。
逆に急性の腰痛でも「温めたほうが腰痛の軽減に役立つ」という研究結果がある。
Q6.腰痛の治療で有効な方法は?
A6.認知行動療法と運動療法の組み合わせが、最も期待できる。
認知行動療法とは、否定的なものの考え方や受け取り方に働きかけ、気持ちを前向きにして行動を変える。具体的には、「腰痛があるから無理しない」ではなく、「腰痛があっても自身を持って動く」という考え方と行動を修正する方法。
運動療法には、ストレッチ、体幹筋トレーニング、有酸素運動がある。
薬物療法としては第一選択はNSAIDs、アセトアミノフェン、第2選択は急性腰痛に対して筋弛緩薬、慢性腰痛に対して抗不安薬や抗うつ薬、筋弛緩薬、オピオイド。
【腰痛の疫学】
腰痛は日本の有訴率の中で男性では1位、女性では2位(1位は肩こり)。
過去1ヶ月に持続的腰痛があったものの割合は男性で25.2%、女性で30.5%。
3~4人に1人が悩まされている腰痛にたいして、私達の認識は間違っていないだろうか。
腰痛に対しては、積極的に運動し、いよいよ我慢できなくなったら整形外科を受診するくらいがよいのだろうか。